IPトランシーバーの基礎知識
IPトランシーバーの種類・料金相場・注意点
IPトランシーバーは、大手通信事業者の回線を利用する通信システムです。
音声をパケット化して電話回線で電波を飛ばすので、従来の無線機と違い通話エリアが広く、地下やトンネル内のような遮断物が多い場所でも通話が可能というのが特徴。
IPトランシーバーは携帯電話と無線の長所を併せ持ったハイブリットな通信手段として注目されています。
IPトランシーバーとは?3つの特徴
IPトランシーバーには、大きく分けて3つの特徴があります。その3つとは、免許不要・エリアが広い・混信しにくいという3点。
通常の無線は免許が必要ですが、IPトランシーバーは免許の申請の必要はありません。そのため誰でもすぐに使用できるというメリットがあります。
また、IPトランシーバーは申請にかかる手間や時間がないので、急遽必要になった時や短期間のみの使用にも対応することができます。
IPトランシーバーはエリアが広大というのも特徴。携帯電話の回線を使用するため、携帯電話の電波が届く範囲であれば通信が可能です。
山奥などでは携帯の電波が届かない場所がありますが、その場所ではIPトランシーバーも使用ができませんので、他の通信手段を考える必要があります。
このように使用ができない場所は存在するものの、携帯電話のエリアはほぼ全国を網羅しているので、IPトランシーバーは全国で使用することができる優秀な通信手段です。
混信は無線の電波が混じってしまい起こるトラブルです。混信は電波が混じることで通常の受信が難しくなり業務に支障が出てしまうこと。その点、IPトランシーバーは無線電波を飛ばしているのではなく、音声をパケット化して電話回線で飛ばしているため、混線のリスクはかなり少ないと言えます。
携帯電話の通話が混信することがないように、IPトランシーバーも混線には強い通信システムです。この混線に強いという特徴はIPトランシーバーの最大のメリットでもあります。
スムーズでトラブルのないIPトランシーバーでの通話は業務の効率を向上させ、ストレスを軽減してくれるでしょう。ただ携帯電話と同じように通信が極端に集中するとビジー状態になることがありますのでその点はご留意ください。
値段・コストはどのくらい?種類と料金相場
IPトランシーバー種類には、トランシーバー型と車載型があります。トランシーバー型はコンパクトなハンディータイプの本体のため持ち運びがしやすく、業務の邪魔になりにくいです。
車載型は車両の搭載に特化したIPトランシーバーで、マイクスピーカーで通話をすることが可能です。車載型はGPS機能を装備している物が多く、常に車両の位置を確認することができるので運行管理などにも役に立ちます。
業務無線のように免許申請や無線資格従事者による工事の必要がなく、導入しやすいのもIPトランシーバーの人気の理由と言えます。
IPトランシーバーには携帯電話のキャリアをメインとサブでそれぞれ設定できるものもあります。最初の契約時にメイン回線にするキャリアを選び、その後必要に応じてメイン回線とサブ回線を本体の操作で切り替えることが可能です。1つのキャリア回線だけのIPトランシーバーよりも、2つのキャリア回線を使い分けることができるので、より広範囲での通話に対応することができおすすめです。
IPトランシーバーはパケット通信をするので、携帯電話と同じく毎月の通話料が発生します。通話料金のプランはさまざまですが、月額定額制のプランがほとんどです。どれだけ通話をしても月額料金以上は費用がかかりません。本体料金を分割にして毎月の通信料と合わせて支払うなど、支払いの種類もさまざまです。
IPトランシーバーには契約期間の縛りがあり、契約期間が満期なる前に解約をする場合には違約金が発生します。契約する際には契約期間の長さなど最適かどうか考慮する必要があります。
料金の相場はリースか購入かで変わってきます。レンタルの場合の相場は1泊2日の短期レンタルで日額4,000円前後。一方、長期レンタルの相場は、3年のレンタルで月額3,500円前後、7年のレンタルで月額3,000円前後となります(※当サイト調べ、2019年8月時点)。
上記IPトランシーバーのレンタル料金相場は、レンタル期間や機種、メーカー、代理店、各種割引などの組み合わせで変化しますので、参考程度にご覧いただければと思います。
また、IPトランシーバーを購入する場合には初期費用が3,000円ほどかかりますが、初期費用が無料の機種やプランもありますので契約内容をよくチェックしてください。
もう迷わない!選び方と注意点
IPトランシーバーの選び方として推奨したいのが、使用用途から選ぶ方法。通常の無線であれば通信距離や通信可能エリアで選ぶことが多いのですが、IPトランシーバーの通信距離は全国エリアのため、どの機種を選んでも大きな差は出ません。
そのため、使用する場所や使用の仕方に合わせて選ぶのが最適です。
無線通信は、工事現場やイベント会場など多種多様な業界で重宝されています。工事現場で使用するIPトランシーバーは丈夫なボディで雨などに強い防水仕様の物が適しています。解体作業のある現場では防塵性能があるとさらに安心です。
現場の作業音や騒音の中でもクリアな会話が可能なIPトランシーバーを選ぶと、指示や意思の疎通がスムーズになり作業効率の向上も期待できます。作業中に手袋を着用する場合には本体の操作がしやすいので、ボタン式よりもツマミ式がおすすめです。
IPトランシーバーは建物に通話が遮断されることがほぼないので、大規模なイベント時にも活躍します。複数のフロアや別会場に分かれてのイベント時には出力の低い無線では対応ができません。IPトランシーバーなら問題なく通話が可能なため、イベントの進行や運営にも最適です。
イベント時にはハンズフリーで会話ができるIPトランシーバーを選ぶとより利便性が高いです。接客のサポートにもIPトランシーバーがあると、お客様への対応が迅速におこなえます。店内とバックヤードの連絡や、スタッフ同士の通話など連携をとるためのツールとしてIPトランシーバーは非常に役立ちます。
一斉通話や担当同士のグループ通話などができるIPトランシーバーが店舗運営の通信には適しています。遠隔地の通信が得意なため本店と支店がどれだけ離れていても、IPトランシーバーなら距離に影響されずに連絡をとることができます。
IPトランシーバーの選び方の注意点としては、使用する用途に合わせて本体の大きさや重さも考慮しなければならないという点。店舗のスタッフが所持する場合には、工事現場で使用するような堅牢なIPトランシーバーはミスマッチです。見た目の違和感だけでなく、重量もありかさばるため機動性が落ちて業務の効率が下がってしまう可能性があります。
購入とレンタルはどちらがおすすめ?導入方法まとめ
IPトランシーバーの導入する方法は、購入またはレンタルの2通りあります。購入とレンタルにはそれぞれに長所と短所があるので、用途や試用期間などを考慮してどちらにするのか決定してください。
購入のメリットは、毎月のコストをもっとも安くすることが可能だという点です。長期使用する場合には、購入したほうがお得になります。ただし故障や不具合が発生した際には、買い替えや修理代など維持のための費用がかかってしまいます。
また、新しい機種に変えたい時には再び導入コストがかかるというデメリットも。使用する台数が多い場合には初期費用がかかってしまいますが、長期使用するのならばレンタルでは高額な費用になってしまいますので注意が必要です。
レンタルのメリットは、メンテナンスなどに費用がかからないという点です。通常の使用中の故障や不具合であれば、すぐに交換や修理の対応をしてもらえます。購入する場合と比較して、メンテナンス費や維持費はおさえることが可能です。ただし、毎月のレンタル料は割高になります。その他のメリットとしては最新の機種をレンタルして使用できるので、常に新しい通信システムを使用することができます。
このようにIPトランシーバーの導入には、それぞれメリットとデメリットがあります。導入する台数が多く、長期間頻繁に使用する場合には購入したほうがコストをカットすることができます。
工事現場など過酷な状況で使用することが多い場合には、故障や破損の可能性も高まるので長期レンタルを利用すると修理代や買い替えの費用で出費が増えることがありません。短期間の使用の場合には、購入よりも断然レンタルが安く済みます。短期間のイベントなどには導入する台数が多くてもリースを利用するのがおすすめ。
IPトランシーバーを購入するかレンタルするかで迷った場合には、レンタルで実際の機種を試してみるのも一つの方法です。購入した後に、使いづらさを感じたり物足りなさを感じてしまっても返品や買い換えることはできません。
まずレンタルで試し、使用してみた感想などをスタッフから聞いた上で、購入するかを判断すると後悔せずにすみます。価格だけで導入を決めて、いざ使用してみたら現場で使えなかったという可能性もゼロではありません。通信する状況や場所などに最適なIPトランシーバーを選ぶことが重要です。
トレンドは、スマホ版IPトランシーバーアプリ!
ここまでIPトランシーバーの特徴や種類、料金、導入方法について解説いたしました。最後に、次世代IPトランシーバーとして注目されているすスマホ版IPトランシーバーについてもご紹介します。
スマホ版IPトランシーバーアプリとは、iPhoneやAndroidなどのスマホに専用のアプリをインストールすればスマホをトランシーバーとして使用することができる画期的なサービス。専用端末が不要で、スマホさえあれば初期費用ゼロで導入できるため、従来のトランシーバーに代わる存在として注目されています。
また、このスマホ版IPトランシーバーには、マップで相手の位置を特定できる機能や、録音・再生機能、メッセージ機能など、従来の無線機にはなかった便利な機能が付いています。IPトランシーバーは携帯電話の回線を利用した通信システムのため、携帯電話と通話エリアなど共通点が多いです。
アプリをインストールするだけで使用できる手軽さがメリットですが、電池を消耗しやすいというデメリットも。
NECネッツエスアイが提供するスカイトランシーバーなら、14日間無料でスマホ版IPトランシーバーアプリを体験できます。無料モニター終了後は、自動で有料会員に切り替わるということもないので、安心してお試しいただけます。
現在IPトランシーバーをご検討中の方は、IP無線アプリもぜひ検討してみてはいかがでしょうか?
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